電験3種 各科目の解説
電圧の実効値と平均値の違いを解説【実効値と平均値は違う】
交流電圧で100Vといえば、通常は実効値を指します。交流電流でも同じで、特に注意書きもなく10Aとあればそれは実効値です。そして交流回路で電力を求める際は実効値同士の掛け算で求めます。
このように交流回路では当たり前のように出てくる実効値という考え方ですが、意味を知っているでしょうか?
意味を知っていると、交流回路の計算をするにしても理解がより楽になります。
実効値の意味と必要性
ここから実効値の解説をしたいと思います。
実効値は交流を直流に直した値のこと
まず実効値とは何か?を簡単にいうなら、交流の値を直流の値に変換した値といえます。
図1は直流電圧の波形を描いたものです。
この波形の電圧は何Vでしょう?これは簡単ですね。100Vです。
では図2はどうでしょう?正弦波の交流電圧波形です。コンセントの電圧と同じと考えてください。
1番大きいところで141Vだから電圧は141V!ではありません。
交流電圧といえば普通は実効値のことです。そして実効値は交流を、直流だったら何Vになるか?と考えて変換した値です。細かい式は省きますが、正弦波の場合は波形の1番大きい値を√2で割った値になります。
よって図2の電圧は141÷√2≒100Vです。
実効値を使う理由は楽に計算するため
ところでなぜ実効値を考えなくてはいけないかというと、電気の計算を楽にできるようにするためです。
例えば皆さんご存じオームの法則の式V=RI(電圧=抵抗×電流)があります。
この式で計算をするとき直流なら話は早いですね。普通に電圧、電流を当てはめるだけです。
一方交流では電圧も電流も値がずっと変化しているので、どの値を当てはめればいいか分かりません。しかし実効値が分かれば、この値を入れるだけでいいので楽に計算ができます。
実効値と平均値は違う
よくある勘違いが実効値と平均値を同じものだと考えてしまうことです。実効値と平均値は違う値です。
実効値は交流を直流に変換したもの。
これを知っていれば実効値と平均値が違うものだとイメージできると思いますが、実際に平均値を求めてどう違うのかを確かめてみましょう。図3を見てください。
この電圧は1周期がt秒です。1周期ではプラスとマイナスの値が同じだけあるので、この期間で平均値を計算すると0になります。
このように実効値と平均値は異なるものなのです。
波高値と実効値の関係
正弦波では1番大きい値を√2で割ると実効値が求まると書きました。
この1番大きい値は波高値といいます。波高値に何をかければ実効値が求まるかは波形によって異なります。
電験3種では正弦波と矩形波の実効値の求め方を知っておけば十分と思います。
正弦波の実効値
正弦波の実効値はすでに書きましたが、以下の式で求められます。
実効値=波高値×√2
矩形波の実効値
矩形波とは図4のように、角ばった波形のことです。
矩形波では実効値は波高値と同じになります。つまり、
実効値=波高値
となります。
おわりに
本サイトでは電気に関してこのような初学者でも分かりやすい解説を行っています。
もしこれを解説してほしい!という要望や質問がありましたらお問い合わせかXのDMでご連絡いただければと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
「141÷√2≒100V」の後に、「正弦波では1番大きい値に√2をかけると実効値が求まると書きました」と記載があります。
どちらが正しいのでしょうか。同じ2つの「」内の表現が同じようにはとれないのですが。
大変申し訳ありません。記載ミスでしたので正しい表現に修正しました。
この度はご指摘ありがとうございました。またご迷惑おかけし申し訳ありませんでした。