電動機のすべりとは?トルク特性、安定運転領域をわかりやすく解説

誘導電動機はすべりがないと運転することができません。そしてすべりによって出力できるトルクが変化します。

これをトルク特性といいます。

そして電動機には安定してトルクをだせる運転領域が決まっています。これを電動機の安定運転領域といいます。

このすべり、トルク特性、安定運転領域をわかりやすく簡単に解説します。

すべりとは?

電動機は巻線に電流を流して回転磁界をつくり、回転子に誘導起電力を発生させます。この誘導起電力によって回転子には電流が流れ、この電流と回転磁界によって電磁力が生じることで運転をします。

(電動機の運転する仕組みや構造はこちらで詳しく解説しています。)

回転子に誘導起電力を発生させるためには、回転磁界と回転子の間に速度差がないといけません。

この速度差をすべりといいます。

このすべりとはどういうものかを図で解説していきます。

図1はかご形誘導電動機を真正面からみた図です。

図1 かご形誘導電動機 を正面からみたところ

この図の中にある固定子巻線に三相交流電流が流れると、回転磁界が生じます。

すると図2のように、回転磁界が回転子の導体を横切るので、フレミング右手の法則に則って誘導起電力が生じて電流が流れます。

この電流と回転磁界により回転子が回転します。

図2回転子に生じる電磁力

誘導起電力が生じるためには、磁界が導体を横切る必要があります。

磁界と導体が同じ速度で動いていれば誘導起電力は生じません。

よって電動機では回転磁界と回転子の導体の間に速度差がないといけません。この速度差をすべりといいます。

すべりは図3の書いてある式で表されます。

図3 すべりを求める式

また回転磁界の回転速度は同期速度ともいいます。

電動機のトルク特性とは?

電動機が出力するトルクはすべりの大きさによって変化します。これを電動機のトルク特性といい図4のようになります。

図4 電動機のトルク特性

すべりが1のときは電動機が停止している状態です。そこから運転をしていくと、すべりが0になる少し手前でとトルクが最大になります。

電動機が出せる最大のトルクを、そのまま最大トルクといいますし、停動トルクともいいます。

誘導電動機のトルク特性はモータの使用によって変わりますが、基本的に図4のように、すべりが0の少し手前で最大トルクとなるカーブを描きます。

電動機の安定運転領域とは?

図5でもう一度トルク特性をみてみましょう。

電動機は負荷が変化しても安定して運転できる安定運転領域というものがあります。それは図5で示している最大トルクより右側の領域です。

図5 安定運転領域

なぜこの領域だと安定して運転できるのでしょうか?

これを解説していきます。

まず前提として電動機で運転するポンプやファンなどの負荷は一定の運転をしているときも重くなったり軽くなったりします。

負荷が重くなるということは、電動機の回転を遅くする力が働くということです。これは自転車を漕いでいる時に坂道にさしかかった時をイメージするとわかりやすいです。

坂道を登るときに平らな道を走るときと同じ力で漕いでいれば速度は落ちていき、やがて停まってしまいます。

そのため同じ速度で走るためには、坂道を登る前よりも強い力で漕ぐ必要があります。

電動機に話を戻します。負荷が重くなり図6のように負荷トルクが重くなる、つまり速度が落ちる方向に動くと、すべりは小さくなります。

安定運転領域で運転しているときは滑りが小さくなるとトルクが増加しますので、また元の速度に戻すことができます。

図6 負荷が重くなったときの出力トルク(安定運転領域で運転中

よって電動機の速度は負荷が変動しても、元の速度に戻るので安定運転領域では安定して運転ができます。

反対に安定領域以外で運転しているときを考えてみましょう。

図7のように、安定領域以外で運転しているときに負荷が重くなり速度が低下、つまりすべりが小さくなると、電動機が出すトルクが低下します。

図7 負荷が重くなったときの出力トルク(安定運転領域の外で運転中)

そのため電動機の速度は上がらず、負荷が重くなるほど電動機の速度が下がって最終的には停止してしまいます。

また通常、電動機は安定運転領域で運転しますが、この領域で運転しているときに負荷が変動しても、すべりは大きく変化しないことがトルク特性をみると分かります。

すべりがあまり変化しないことは、速度があまり変化しないと同じ意味です。

そのため誘導電動機は一定速度で運転できるという特徴があることが分かります。

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