電気の交流回路を考える時、分かりにくいのが位相の概念だと思います。
電験でも波形の図が出てきて、電圧に対して電流の位相は遅れか進みかどっち?と聞かれる問題がありますが、結構迷います。
ということで位相の遅れ、進みと位相差について解説します。
位相の遅れ、進みの考え方
図1は交流の電圧、電流の波形です。電圧を基準にすると電流の位相は遅れ進みどっちかを考えてみます。

電流の波形の方が電圧より前にあるから進み?と考えがちですが違います。この図では電圧に対し電流は遅れです。
分かりやすく考えるには時間軸に着目しましょう。
図の横軸は時間経過を表します。左方向が過去、右方向が未来です。そして縦軸は電圧[V]、電流[A]を表します。
また電圧が0Vになる点を点A、電流が0Aになる点を点Bと仮に決めてみます。
電圧と電流に位相差が無ければ、電圧が0Vのとき電流も0Aになります。つまり図2の様に点Aと点Bは一致します。

しかし位相差がある場合は図3の様に点Aと点Bがずれます。そして図3では点Bは点Aよりt秒差で右側にあります。この意味は電圧が0Vになってからt秒後に電流が0Aになるということです。

t秒後、つまり電流はt秒遅れていると言えます。
この様に基準から何秒後の未来に(または何秒前の過去に)電流が来るか?を考えると位相の遅れ進みの判別は分かりやすくなります。
波形が右側にある方が来るのが遅いので遅れていると言える。
位相差を角度で表す
先ほどまでは位相差を秒で表していました。しかし電気回路では位相は何ラジアン遅れている(進んでいる)という風に、角度で表すことが普通です。
ラジアンは角度の単位で[rad]と書く。ちなみに1rad=180/π【°】。
ではt秒遅れている場合、何ラジアン遅れていることになるでしょうか?ということを考えていきます。
位相差を角度で表現する場合は、まず角周波数ω[rad/s]を求めます。各周波数は次の式で求められます。
ω=2πf ※おめがイコール2パイエフを連呼して覚えましょう。
そしてこの各周波数ωに時間【秒】をかけると角度が求められます。
つまりt秒遅れなら、角度=ωt【rad】です。
よってωt【rad】位相が遅れていると求めることができます。
コメント