光束や光度、照度、輝度といった照明に関する用語はそれぞれが何を意味しているかややこしいと思います。
このページでは照明に関する用語の意味や違い、求め方について分かりやすい表現で解説します。
光束
光束とは?
光束とは光源(例えば照明)が出す光の量を指します。単位は[lm](ルーメン)です。
光束のイメージは図1です。電球はソケットの方を除くあらゆる方向を照らします。
言い換えるとあらゆる方向に光が出ているということです。光束は光源(ここでは電球)から出る光の量の合計を指します。
光束が大きいほど明るい?
では光束が大きい照明ほど明るいのでしょうか?
結論からいうと違います。前述したように光束は照明から出る光の量ですが、この光の量の全てが人の感じる明るさになるとは限らないからです。
例えば光束が同じ2つの電球を考えましょう。これの片方に反射板を付けたとします。すると図2のように人がいる場所に届く光の量は反射板を付けた方が多くなります。
つまり反射板がある方が明るいということです。
このように明るさは光束の大きさだけでは決まりません。
光度
光度とは?
光度とはある方向に向かう光の強さを意味します。また別の言い方をすると、光源からある方向に向かう光束の量を示しています。
単位は[cd](カンデラ)です。
光度の意味を捉えるのは結構難しいので、もう少し分かりやすい表現で解説します。例えば図3のように照明を真下からみるのと、横からみるのではどちらが眩しいでしょうか?
普通は真下からみた方が眩しいです。
これは真下方向が最も光度が大きく、真下から離れるほど光度が小さくなるからです。
光度の求め方
光度を求める式は以下です。
$$光度[cd]=\frac{光束[lm]}{立体角[sr]}$$
立体角とは?
ここで新しいワードである立体角について解説します。
立体角は以下の式で求めます。単位は[sr](ステラジアン)です。
$$立体角[sr]=\frac{円錐で切り取られた球の表面積[m^2]}{(球の半径[m])^2}=\frac{S}{r^2}$$
この式を図解すると図4になります。
立体角は球の、ある方向の中心からの広がりを表す値です。
光度が表していること
前述しましたが光度は\(\frac{光束}{立体角}\)で求められます。
つまり図5のように1sr中の光束の量を表しています。
【重要】光度は光源からの距離で変化しない
また光源からの距離が変わっても光度は変化しないことが、図5からわかります。
例えば図6のように距離が短くても長くてもとその方向の光の量は変わりません。
ここは光度についての重要なポイントです。
照度
照度とは?
照度とは光源に照らされた面1m2あたりの明るさです。またある面1m2に届く光束の量でもあります。
単位は[lx](ルクス)です。
照度の求め方
ある面1m2に届く光束なので、光束をその面の面積[m2]で割ると求められます。よって以下の式になります。
$$照度[lx]=\frac{光束[lm]}{面積[m^2]}$$
例えば床の照度のイメージは図6になります。
照度を求める時の光束に注意
照度は光束を面積で割ると求められますが、ここでいう光束は何かに注意する必要があります。
例えば図7のように光束1000lmの点光源の場合、光は全方向に出ていきます。そのため床の面積に届く光束は1000lmではありません。照度を求める場合は床に届く光束を面積で割る必要があります。
これを専門的な言い方に変えると
「ある面を光束が一様に照らしている場合、そのある面の照度は(光束/ある面の面積)で求められる」となります。
【重要】照度は距離の2乗に反比例する
ここで照度に関しての重要なポイントがあります。それは照度は光源からの距離の2乗に反比例することです。
これを照度の逆2乗則といいます。
一方で前述の通り光度は距離によって変わりません。
理由は距離が遠くなるほど、光が届く面積が大きくなるからです。つまり照度を求める式の分母が大きくなるので、照度は小さくなります。
なぜ2乗?というのは図7に示しました。例えば球でいえば半径(距離に相当)が2倍になると、面積は4倍になります。
面積が距離の2乗に比例するため、照度は距離の2乗に反比例します。
輝度
輝度とは?
輝度とはある物体が発する光の強さのことをいいます。単位は[cd/m2](カンデラ毎平方メートル)です。
輝度の求め方
輝度はその方向の光度を光源の面積で割ると求められます。式にすると以下になります。
$$輝度[cd/m^2]=\frac{光度[cd]}{面積[m^2]}$$
ちなみにこのこの式の面積は見かけの面積を使います。見かけの面積とは図8のように、目に映る面積のことです。
輝度と光度・照度の違い
以上で光源や照明に関する用語を説明してきましたが、輝度と光度、または照度の違いをきちんと理解するのは難しいと思います。
はっきりと理解するためにはそれぞれの違いをイメージすることが有効です。そこでここからは輝度と光度、及び輝度と照度の違いをスマホを例にして解説します。
輝度と光度の違い
まずは輝度と光度の違いの解説です。
大きいスマホと小さいスマホがあったとします。そして図9のようにこのスマホの画面の光で暗い部屋を照らすことをイメージしてください。
また部屋は大小どちらのスマホで照らした場合でも、同じ明るさになるように画面の明るさを調整します。
このときどちらのスマホの方が光度が大きいでしょうか?答えは同じです。
光度はある方向に出ていく光の量です。今回ケースでは部屋の明るさは同じにしたので、部屋の方向に出ていく光の量も同じです。そのため光度は等しくなります。
では輝度はどちらが大きくなるでしょうか?答えは小さいスマホです。
理由は輝度は光度を面積で割った値だからです。光度は同じですが、画面の面積が小さいので小さいスマホの方が輝度が大きくなります。
輝度と光度はこのような違いがあります。
輝度と照度の違い
続いて輝度と照度の違いを解説します。
モニターやスマホ、テレビなど多くのディスプレイは明るさを調整できます。この明るさは輝度と照度のどちらを調整しているでしょうか?
正解は輝度です。輝度と照度は明確な違いがあります。
輝度は光源(ここではディスプレイ)から出る光の明るさです。
一方で照度はディスプレイが外からどれだけ照らされて明るくなっているかを表します。
これを図解すると図10えになります。
おわりに
本サイトでは電気に関してこのような初学者でも分かりやすい解説を行っています。
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