三相交流回路は図1のようにY結線とΔ結線の2種類があります。
そのうちY結線では3つの相電圧が等しい場合、線間電圧は図2のように相電圧Eの√3倍になります。
この理由をフェーザを使って分かりやすく解説していきます。
またフェーザが分からない方向けに、フェーザの書き方も解説しているので安心して読み進めてください。
三相交流波形の基本
まず三相交流波形の基本を確認しましょう。
三相交流電圧の相電圧は図3のようにそれぞれ120°の位相差がある波形になります。
各相電圧は同じ大きさなので波形も同じ大きさになります。
三相交流波形をフェーザで表す
ではこの波形をフェーザで表します。
さらっとフェーザというワードが出てきましたが、フェーザはベクトルと同じと考えてもらって良いです。つまり波形を矢印で表してみようということです。
どうしたら波形が矢印で表せるかを解説します。図4の左側に三相交流波形を色分けしたものを描きました。
右側には中心が電圧0の点、半径は電圧の実効値の円を描きました。
(よくみると円の半径は電圧の最大値になっていますが、実効値と捉えてください)
ではここで、円の中心から相電圧Eaの波形上の点に対応する円上の点までの矢印を描きます。つまり図5のような矢印です。
この矢印を相電圧Eaのフェーザ(ベクトル)といいます。
では同様にEb、Ecについての矢印も描いていきます。先ほどのEa上の点と同じ時間のEb上の点、Ec上の点を描くと図6になります。
これらの点に対応する矢印を描くと図7のようになります。
これで三相交流波形をフェーザで表すことができました。
この3つの矢印は大きさが同じで120°ずつずれています。つまり120°の位相差があるということです。
線間電圧をフェーザで表す
以上までで描いたフェーザは相電圧のフェーザです。ここからは線間電圧のフェーザについて考えていきましょう。
冒頭でも出しましたが線間電圧は図8に示す部分の電圧なので、線間電圧Vabは相電圧Eaと相電圧Ebの差になります。
よってフェーザのEaとEbの差で表せます。つまり式にすると
Vab=Ea-Ebです。
これをフェーザ図で求めると図9になります。
矢印の長さは電圧の実効値を表します。求めた線間電圧Vabのフェーザは相電圧のフェーザの√3倍の長さになります。
よって線間電圧は相電圧の√3倍となります。
またフェーザの角度にも注目してください。
相電圧Eaに対して線間電圧Vabは30°反時計周りの方向にずれています。よって線間電圧は相電圧よりも30°進みと分かります。
以上をまとめると以下2点になります。
- 線間電圧は相電圧の√3倍
- 線間電圧は相電圧より30°進む
おわりに
本サイトでは電気に関してこのような初学者でも分かりやすい解説を行っています。
もしこれを解説してほしい!という要望や質問がありましたらお問い合わせかXのDMでご連絡いただければと思います。
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