変圧器の結線方式は様々な種類があります。なかでも良く使うのは以下の2種類です。
- 単相3線式・・・主に電灯やコンセント電源を得るために使う
- 三相3線式・・・主に三相電源で動く電動機の電源を得るために使う
これらの結線をする場合はそれぞれ1台ずつ変圧器が必要です。
例えばビルなどでは単相電源の照明やコンセントもあれば、三相電源で動く空調やポンプもあります。
そのため変圧器は最低でも単相用と三相用の2台が必要です。
しかし変圧器を1台にしたい場合はどうすれば良いでしょうか?
その場合に使うのが三相4線式の結線方式です。
本記事では三相4線式と三相3線式の違いと、三相4線式で得られる電圧は何Vになるかを解説します。
三相3線式の確認
まず三相3線式のおさらいをしましょう。
三相3線式は図1のように変圧器から3本の線を取り出して、三相電源を得る結線方式です。
得られる電圧は変圧比によりますが三相の400Vや200Vが一般的です。
ここでポイントがあります。それは単に三相400V、または三相200Vといえばその電圧は線間電圧を指すことです。
つまり三相400Vであれば、図2で示す線間電圧が400Vである。ということです。
ここではこれを理解しておいてください。
三相4線式とは?
では続いて三相4線式はどのようなものかというと、図3のように3線に加えて中性点から1線を引き出す結線方式です。
三相4線式と三相3線式の違い
そして三相4線式と三相3線式の大きな違いは得られる電圧です。
図4のように三相3線式では三相電圧しか得ることができませんが、三相4線式であれば三相電圧に加え単相電圧を得られます。
単相電圧が得られる理由は電圧波形で考えると分かります。
まず分かりやくするために各相に名前をつけましょう。何でも良いですがa,b,cとします。すると各相電圧の波形は図5になります。ちなみにこれら個々の電圧を相電圧といいます。
これを組み合わせたものが三相電圧です。よって出力は図6のような波形になります。線間電圧はこの3つの波形のうち、2つの電圧波形の差です。
一方、三相4線式における単相電圧とは、ある1相と中性点間の電圧です。ここで中性点の電圧は0Vであることに留意してください。
例えばa相と中性点間の電圧波形をみると図7になります。つまり1相分の波形を取り出したことになります。これは単相電圧の波形ですね。このように単相電圧が得られます。
三相4線式で得られる電圧の大きさ
三相4線式は単相電圧が得られるのが分かったところで、では得られる電圧の大きさは何Vになるでしょうか?
ということをここから解説していきます。
結論からいうと、三相電圧を√3で割った大きさの電圧が得られます。
つまり三相電圧が400Vであれば、得られる単相電圧の大きさは230Vです。
これは単相電圧=相電圧であり、またY結線では相電圧×√3=線間電圧の関係があるからです。
相電圧×√3=線間電圧になる理由は↓こちらの記事で解説していますので併せてご確認ください。
実際の電圧
最後に補足です。
ここまでは400Vや200Vといってキリの良い値を使って解説していましたが、実際の現場では少し異なります。
三相4線式においては三相電圧を415Vとして、単相電圧は240Vであることが多いです。
これで良いの?と思われるかもしれませんが大丈夫です。
理由は400V、または200Vぴったりでなくてはダメな機器というのはほとんど無く、実際には400~440V、200~240Vの範囲まで対応している機器が多いからです。
ですから変圧器から得られる電圧は400V、200Vと言うのではなく、400V級、200V級と呼ぶ方が正しい表現になります。
おわりに
本サイトでは電気に関してこのような初学者でも分かりやすい解説を行っています。
もしこれを解説してほしい!という要望や質問がありましたらお問い合わせかXのDMでご連絡いただければと思います。
コメント
コメント一覧 (1件)
関西と関東の栃木県では分電盤内配線の違いはどうなりますか。
100Vを使う為の配線、200Vを使う為の配線を教えてください。中性線が無い場合の配線について詳しく教えてください。