節炭器は火力発電の効率を向上させる設備です。この節炭器の役割と発電効率を上げる仕組みを解説します。
節炭器の役割
節炭器の役割は
ボイラで蒸発させる水をボイラの排ガスで事前に温めて、蒸発させるのに必要な燃料を減らすことです。
どういうことか図を用いて説明していきます。
節炭器が設置される場所
まず節炭器が火力発電設備のどこに設置されるかを理解しましょう。
図1は火力発電の構成を簡略化した図です。
火炉と呼ばれる炉の内部では燃料が燃やされています。この火炉内部には水が通る配管(水管)が通っています。
水管内の水は火炉の熱で蒸気になります。この蒸気によってタービンを回して発電をします。
また火炉で燃料が燃える際は排気ガスが発生します。排気ガスはガス配管を通り煙突から外に排出されます。
図1は節炭器を省いた図です。では図2に節炭器を書き加えます。
節炭器は水が通る配管の通り道に設置されます。また節炭器には排ガスも通るようになっています。
節炭器があると発電効率が上がる理由
節炭器は図2の位置に設置され、排気ガスの熱を使って火炉へ行く水を火炉に届く前に温めています。
節炭器で水を温めると発電効率が良くなる理由は、水を蒸発させるのに必要な燃料が少なくて済むからです。
火力発電では燃料を燃やして出た熱で水を蒸発させ、その蒸気で発電をしています。
例えば10℃の水と、90℃の水ではどちらが蒸発させるのに必要なエネルギーが少ないでしょうか?
当然90℃の水の方が少ないエネルギーで蒸発させることができます。
節炭器の目的はこの考えと同じです。少ないエネルギーで良いという事は少ない燃料で良い事と同じ意味です。
このように節炭器ではあらかじめ水を温めて、使用する燃料を少なくする役割があります。
ちなみに節炭器は名称に炭が入っていますが、理由は主な燃料が石炭だからです。石炭を節約するという意味で節炭器です。とはいえ今では重油、ガス、バイオマスなど様々なものが燃料になっているので少し違和感がありますね。
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