電気回路を構成する部品を素子と呼びます。ダイオードはその素子の一つです。青とか赤に光るものはよく聞く発光ダイオードといいます。これもダイオードの仲間です。
ダイオードの1番の特徴は、電流を片方向にしか流さないことです。そのため回路にダイオードがあると、電流の流れを制限することができます。
しかしなぜ片方向にしか流さないのでしょうか?これについて分かりやすく解説していきます。
ダイオードの構造
まずダイオードの構造を理解しましょう。ダイオードはP型半導体とN型半導体がくっついた構造をしています。
P型半導体とN型半導体の違いは簡単にいえば、
- P型半導体
-
電気の粒(=電子)の数が少ない半導体
- N型半導体
-
電子がたくさんあり、自由に電子が動き回っている半導体
となります。
異なる種類の半導体をくっつけることを接合といいます。つまりダイオードはP型半導体とN型半導体を接合したものです。これを簡単に描いたのが図1です。

ちなみに正孔とは普通は電子が収まるはずだけど電子が無い状態の穴のことです。P型半導体では電子の数が少ないので、空っぽの正孔がたくさんあります。
なぜ電流が一方向にしか流れないのか?
ではなぜダイオードは一方向にしか電流を流さないのかを解説します。
ダイオードに電流が流れるケース
まず電流が流れない方向に電流を流そうとしたケースを考えてみます。
ダイオードに下の図のように直流電圧をかけます。すると電子はマイナスなので、図2の様に電源のプラス側に引き寄せられます。

するとN型半導体の部分では電子が左側によります。またP型半導体の部分でも少ない電子がプラス側に移動します。そのため正孔の数が右側に偏ります。
つまりダイオードの左側はマイナスを帯びて、右側はプラスを帯びることになります。
そしてダイオードの真ん中は電気的にプラスマイナスが中立の場所になります。このプラスマイナスが中立で電子の動きが生じない部分を空乏層といい、図3の部分になります。

プラスマイナスが中立ということは、電子が移動しにくいということです。電子が流れないことはつまり電流が流れないことを指します。よって空乏層では電流が流れません。
これがダイオードが電流を流さないケースです。
以上からダイオードのN型半導体側に、プラスの電圧をかけた場合は電流が流れないことが分かります。
またこの電圧は逆方向電圧ともいいます。
ダイオードに電流が流れるケース
反対にダイオードのP型半導体側にプラスの電圧をかけた場合は電流が流れます。この原理を解説します。
先ほどとプラスマイナスを逆にして、ダイオードのP型半導体側に直流電圧をかけます。すると図4の様に電子はプラスの電圧をかけた方へ吸い寄せられます。
P型半導体側には、普通は電子が入るべき穴(正孔)がたくさんあるので、電子をより引き付けます。よって繋ぎ目を飛び越えて、P型半導体へと電子が引き寄せられます。

そして図5の様に、飛び込んだ電子が既にあった電子を押し出していきます。更に押し出された電子はプラスの電源に吸い寄せられます。

そして電源を通ってまたN型半導体の方へ入り、プラスの電源の方へ吸い寄せられます。これを繰り返すので電流が流れが生じます。
以上からダイオードのP型半導体側に、プラスの電圧をかけた場合は電流が流れることが分かります。
ちなみにダイオードへ電流が流れる方向にかから電圧は順方向電圧といいます。
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