この記事では絶縁抵抗測定の目的と絶縁抵抗の基準値について解説します。
絶縁抵抗測定はメガ測定とも呼ばれ、電気機器や設備の絶縁性を確認する測定です。工事などで電気回路に手を加えた後、電源を投入する前に必ず行います。
しかし目的や基準値を把握していないと、きちんと測れませんのでこの記事で確認していきましょう。
絶縁抵抗測定の目的
絶縁抵抗測定の目的は、その名の通り機器の絶縁を測定することです。その目的は具体的には以下の3つがあります。
地絡が起きていないかの確認
絶縁抵抗測定の1番基本的な目的は対地間の絶縁を測ることにあります。つまり漏電をしていないかの確認です。例えば図1のようにケーブルに傷があり、導体部分が地面に触れている状態なら地絡します。
通常は地面にケーブルを転がして配線するケースは少ないのでこれと同じことは考えにくいですが、例えばケーブルラックに配線されていて、ラックに導体部分が触れていれば同じく地絡します。
この場合は対地間の絶縁抵抗は0Ω(もしくは0Ωに近い値)になります。
地絡した状態で電源を入れてしまうと大変です。地絡電流が流れブレーカでは火花が散ります。ブレーカの選定が間違っていれば、ブレーカが爆発して近くの人は大怪我をするかもしれません。またケーブルも熱を持ち、燃える可能性もあります。
絶縁抵抗測定は日常的な点検の一つですがとても重要なものです。
短絡していないかの確認
絶縁抵抗測定は相間の抵抗を確認するのにも行います。例えば図2の回路で電源が切れているときに、ネズミなどが導体部分にまたがって引っかかったとします。この状態で電源を入れれば短絡をしてしまい大事故につながります。
正しく相間の絶縁抵抗を測れば、0Ωに近い値がでますので電源を入れる前に異常と気づくことができます。
絶縁部の健全性確認
絶縁抵抗測定は絶縁部の健全性確認のためにも行われます。電気設備の絶縁は時間が経つにつれて劣化します。劣化する原因としては、導体部分にほこりが積もって、そのほこりが水分を吸収してしまったり、細かな傷が入ってしまったりです。またよく使われるCVケーブルでは、長期間水の中にあると水トリーと呼ばれる現象で絶縁部の劣化が進んだりもします。
この劣化が進んでいないかの確認も絶縁抵抗測定の目的の一つです。定期的に測定をしていれば以前と比べて絶縁が劣化していないかを確認することができます。
絶縁抵抗値の基準(低圧回路)
絶縁抵抗値が基準値以上でないと、その回路や電源系統に電気を送ってはいけません。
基準値は電技で定められていて、回路の電圧によっても違います。
ここでは基準値を解説していきます。
回路電圧300V以下の基準
回路電圧が300V以下の場合は、対地間電圧によって基準値が変わります。
一覧表にすると以下になります。
-表-
それぞれ簡単に解説をしていきます。
・対地間電圧が150V以下の場合は0.1MΩ以上
対地間電圧が150V以下のケースは100Vのコンセントや照明回路があります。それ以外にも単相3線の200V回路も対地間電圧は150V以下(単相3線の対地間電圧は100V)です。
・対地間電圧が150Vを超える場合は0.2MΩ以上
電圧が300V以下で対地間電圧が150Vを超えるケースとして多いのは、3相200Vの動力回路です。具体的には200Vモータへの動力供給の回路などがあります。
回路電圧300Vを超える場合は0.4MΩ以上
回路電圧が300Vを超える場合は0.4MΩ以上が基準値です。このケースで多いのは3相400Vのモータ回路です。