A種・C種・D種接地の目的と抵抗値・電線太さ

「接地工事の種類が覚えられない」「A種とD種で何が違うの?」という悩みは、多くの受験生が抱えています。丸暗記で4種類の数値を詰め込んでも、試験本番で混乱してしまう方も多いでしょう。この記事では、接地工事の「目的」から理解することで、抵抗値や電線太さの数値が自然と覚えられる方法を解説します。

なおB種接地工事については、次回の記事で詳しく取り上げます。


目次

この記事の結論:試験に出るまとめ

接地工事の種類と抵抗値・電線太さ一覧

種類目的(何を接地するか)接地抵抗値接地線の太さ
A種高圧・特別高圧機器の外箱10Ω以下直径2.6mm以上
B種変圧器の低圧側(混触防止)150/Ig Ω以下※直径4mm以上(原則)
C種300V超の低圧機器の外箱10Ω以下(緩和あり)直径1.6mm以上
D種300V以下の低圧機器の外箱100Ω以下(緩和あり)直径1.6mm以上

※B種の詳細は次回記事で解説

絶対に覚えるべき3つのポイント

  1. 300Vが境界線:低圧機器は「300V以下→D種」「300V超→C種」
  2. 漏電遮断器で緩和:C種・D種は0.5秒以内に遮断できれば500Ωまで緩和
  3. 高圧以上はA種:高圧・特別高圧機器の外箱にはA種(10Ω以下)

基礎の基礎の解説:そもそも接地工事とは何のためにあるのか?

接地工事の根本的な目的

接地工事(アース工事)とは、電気機器の金属製外箱などを大地(地面)と電気的に接続する工事のことです。

では、なぜわざわざ機器を地面とつなぐ必要があるのでしょうか?

答えは「感電事故を防ぐため」です。

電気機器の内部で絶縁不良が起きると、本来電気が流れてはいけない金属製の外箱に電圧がかかってしまいます。この状態で人が外箱に触れると、電流が「外箱→人体→大地」の経路で流れ、感電事故が発生します。

ここで、あらかじめ外箱と大地を接地線でつないでおくとどうなるでしょうか?漏れた電流は抵抗の小さい接地線を通って大地に流れるため、人体に流れる電流を大幅に減らすことができます。

なぜ接地工事が4種類もあるのか?

接地工事がA種からD種まで4種類に分かれている理由は、接続する電路の電圧が高いほど、事故時の危険性も大きくなるからです。

電圧が高ければ、絶縁不良時に外箱にかかる電圧も高くなり、感電した場合の被害も深刻になります。そのため、高電圧の機器ほど厳しい条件(低い接地抵抗値、太い接地線)が求められるのです。

これを図にすると、次のような関係になります。

【電圧と接地工事の関係】

  特別高圧・高圧機器 ─────→ A種接地(10Ω以下、φ2.6mm)
        │                     ↑最も厳しい
        │
  低圧 300V超 ─────────→ C種接地(10Ω以下、φ1.6mm)
        │
        │
  低圧 300V以下 ───────→ D種接地(100Ω以下、φ1.6mm)
                               ↓最も緩い

専門的な解説:なぜこの抵抗値・電線太さなのか?

A種接地工事:高圧・特別高圧機器の守護者

A種接地工事が必要な場所

電気設備技術基準の解釈第29条では、機械器具の金属製外箱等への接地工事について、次のように定めています。

機械器具の使用電圧接地工事の種類
高圧または特別高圧A種接地工事
低圧300V超C種接地工事
低圧300V以下D種接地工事

高圧(交流600V超〜7,000V以下)や特別高圧(7,000V超)の機器で絶縁不良が起きた場合、外箱には非常に高い電圧がかかる可能性があります。このため、最も厳しい条件であるA種接地工事が要求されます。

A種接地工事の要件(電技解釈第17条)

項目要件
接地抵抗値10Ω以下
接地線引張強さ1.04kN以上、または直径2.6mm以上の軟銅線
可とう性が必要な部分断面積8mm²以上のキャブタイヤケーブル等

なぜ10Ωなのか?

接地抵抗値が低いほど、漏電時に流れる電流は大きくなりますが、外箱と大地の間の電位差(=人が触れたときに感じる電圧)は小さくなります。

高圧機器では大きな地絡電流が流れる可能性があるため、外箱の対地電圧を危険なレベル以下に抑えるために、低い接地抵抗値(10Ω以下)が必要なのです。

C種接地工事:300V超の低圧機器を守る

C種接地工事が必要な場所

低圧でも使用電圧が300Vを超える機器(例:三相200Vの電動機で対地電圧が300Vを超える場合、400V級の機器など)の金属製外箱には、C種接地工事を施します。

C種接地工事の要件(電技解釈第17条第3項)

項目要件
接地抵抗値10Ω以下
緩和条件0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下
接地線引張強さ0.39kN以上、または直径1.6mm以上の軟銅線
可とう性が必要な部分断面積0.75mm²以上(コード)または1.25mm²以上(軟銅より線)

なぜA種と同じ10Ωなのか?

300V超という比較的高い電圧を扱うため、A種と同等の低い接地抵抗値が求められます。ただし、接地線の太さはA種(φ2.6mm)より細い1.6mmで済みます。これは、低圧では高圧ほど大きな故障電流が流れないためです。

D種接地工事:最も身近な接地

D種接地工事が必要な場所

使用電圧300V以下の低圧機器(一般的な100V・200Vの機器)の金属製外箱には、D種接地工事を施します。私たちが日常的に使う電気機器のほとんどがここに該当します。

D種接地工事の要件(電技解釈第17条第4項)

項目要件
接地抵抗値100Ω以下
緩和条件0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下
接地線C種と同じ(直径1.6mm以上の軟銅線)

なぜ100Ωで良いのか?

300V以下の低圧では、地絡が発生しても流れる電流が比較的小さく、外箱の対地電圧も抑えられます。そのため、C種やA種より緩い100Ω以下という基準で十分な安全性が確保できるのです。

C種・D種の緩和条件:漏電遮断器の効果

C種とD種には重要な緩和条件があります。

低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、接地抵抗値は500Ω以下で良い

この「自動的に遮断する装置」とは、主に漏電遮断器(ELB:Earth Leakage Breaker)のことです。

なぜ緩和されるのか?

漏電遮断器があれば、地絡が発生した瞬間に電路が遮断されるため、人が感電する時間が極めて短くなります。感電による被害は「電流の大きさ × 通電時間」で決まるため、0.5秒以内に遮断できれば、接地抵抗値が多少高くても安全性を確保できるという考え方です。


接地線の太さ:なぜ違いがあるのか?

接地線の太さは、故障時に流れる電流を安全に通すために決められています。

種類接地線の太さ理由
A種φ2.6mm以上高圧・特別高圧では大きな地絡電流が流れる可能性がある
B種φ4mm以上(原則)変圧器の高低圧混触時に大電流が流れる
C種・D種φ1.6mm以上低圧では地絡電流が比較的小さい

接地線が細すぎると、大きな故障電流が流れたときに接地線自体が過熱し、焼損する危険があります。これでは接地の意味がなくなってしまいます。

覚え方のコツとして、「高い電圧ほど太い線が必要」と理解しておけば、数値を忘れても推測できます。

【接地工事の種類を決めるフロー】

STEP1: 使用電圧を確認
    │
    ├─ 高圧・特別高圧の場合
    │      ↓
    │   ★ A種接地工事
    │      ・抵抗値:10Ω以下
    │      ・接地線:φ2.6mm以上
    │
    └─ 低圧の場合
           ↓
        STEP2: 300Vとの比較
           │
           ├─ 300V超の場合
           │      ↓
           │   ★ C種接地工事
           │      ・抵抗値:10Ω以下(※500Ωまで緩和可)
           │      ・接地線:φ1.6mm以上
           │
           └─ 300V以下の場合
                  ↓
               ★ D種接地工事
                  ・抵抗値:100Ω以下(※500Ωまで緩和可)
                  ・接地線:φ1.6mm以上

※緩和条件:地絡発生時に0.5秒以内に電路を自動遮断する装置を設置した場合

よくある勘違い・つまずきポイントの解説

勘違い①:「低圧はすべてD種接地」ではない

誤り:「低圧機器の外箱にはD種接地工事でOK」

正解:低圧でも300Vを超える場合はC種接地工事が必要

低圧の範囲は交流600V以下(直流750V以下)ですが、このうち300Vを境にC種とD種に分かれます。三相400V級の機器など、300Vを超える低圧機器にはC種接地工事が必要です。

勘違い②:「漏電遮断器があれば接地不要」ではない

誤り:「漏電遮断器を付ければ接地工事は省略できる」

正解:漏電遮断器があっても接地工事は原則必要。ただし接地抵抗値が緩和される

漏電遮断器は接地工事の代わりにはなりません。あくまで「C種・D種の接地抵抗値を10Ω/100Ωから500Ωに緩和できる」という特例です。

(接地工事自体の省略条件については、次々回の記事「接地工事の特例:漏電遮断器によるD種接地の省略条件」で詳しく解説します)

勘違い③:C種とD種の「接地線」は同じ

正解:C種とD種の接地線の太さはどちらも同じ(φ1.6mm以上)

C種は抵抗値が10Ω以下と厳しいですが、接地線の太さはD種と同じ1.6mmで構いません。「C種の方が厳しいから太い線が必要」と誤解しやすいポイントです。

勘違い④:A種接地の接地線をB種と混同

A種接地の接地線はφ2.6mm以上、B種接地の接地線は原則φ4mm以上です。「A種の方が種類の数字が小さいから細い」と覚えてしまうと間違えます。

正しい覚え方:B種は「変圧器」という大きな設備につなぐので、最も太い線が必要


簡単な確認問題(2問)

問題1

ある工場に設置された三相200V(対地電圧200V)の電動機の金属製外箱に施す接地工事として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) A種接地工事 (2) B種接地工事
(3) C種接地工事 (4) D種接地工事 (5) 接地工事は不要

解答:(4) D種接地工事

解説

機械器具の金属製外箱への接地工事は、電気設備技術基準の解釈第29条に規定されています。

  • 高圧または特別高圧 → A種接地工事
  • 低圧で300V超 → C種接地工事
  • 低圧で300V以下 → D種接地工事

この問題では、使用電圧が三相200V、対地電圧が200Vなので、「低圧で300V以下」に該当します。したがって、D種接地工事が正解です。


問題2

D種接地工事の接地抵抗値について、次の文章の空欄に当てはまる数値の組合せとして、正しいものを選べ。

「D種接地工事の接地抵抗値は、(ア)Ω以下であること。ただし、低圧電路において、地絡を生じた場合に(イ)秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、(ウ)Ω以下であること。」

選択肢(ア)(イ)(ウ)
(1)100.5500
(2)1000.5500
(3)1001.0300
(4)1000.5300
(5)101.0500

解答:(2)

解説

D種接地工事の接地抵抗値は、電気設備技術基準の解釈第17条第4項に規定されています。

  • 原則:100Ω以下(ア)
  • 緩和条件:地絡を生じた場合に0.5秒以内(イ)に遮断する装置を施設するとき
  • 緩和後の抵抗値:500Ω以下(ウ)

よって、(ア)100、(イ)0.5、(ウ)500の組合せである(2)が正解です。

なお、C種接地工事も同じ緩和条件(0.5秒以内で500Ωまで緩和)が適用されます。C種は原則が10Ω以下である点だけがD種と異なります。


過去問解説

2022年上期 問3:高圧架空電線路の機械器具の接地工事

問題文

高圧架空電線路に施設された機械器具等の接地工事の事例として、「電気設備技術基準の解釈」の規定上、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

  • (1) 高圧架空電線路に施設した避雷器(以下「LA」という。)の接地工事を14 mm²の軟銅線を用いて施設した。
  • (2) 高圧架空電線路に施設された柱上気中開閉器(以下「PAS」という。)の制御装置(定格制御電圧AC100 V)の金属製外箱の接地端子に5.5 mm²の軟銅線を接続し、D種接地工事を施した。
  • (3) 高圧架空電線路にPAS(VT・LA内蔵形)が施設されている。この内蔵されているLAの接地線及び高圧計器用変成器(零相変流器)の2次側電路は、PASの金属製外箱の接地端子に接続されている。この接地端子にD種接地工事(接地抵抗値70Ω)を施した。
  • (4) 高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が750 kWの需要場所の引込口に施設したLAにA種接地工事を施した。
  • (5) 木柱の上であって人が触れるおそれがない高さの高圧架空電線路に施設されたPASの金属製外箱の接地端子にA種接地工事を施した。なお、このPASにLAは内蔵されていない。

何を聞かれている問題かの整理

この問題では、高圧架空電線路に設置される各種機器(避雷器、柱上気中開閉器、計器用変成器など)に施す接地工事の種類と接地抵抗値・接地線の太さが適切かどうかを問われています。

チェックすべきポイント:

  • 高圧機器の外箱 → A種接地工事(10Ω以下、φ2.6mm以上)
  • 低圧機器(300V以下)の外箱 → D種接地工事(100Ω以下、φ1.6mm以上)
  • 高圧計器用変成器の2次側電路 → D種接地工事
  • 避雷器 → A種接地工事

使う公式・考え方のおさらい

接地工事の種類と要件

種類接地抵抗値接地線
A種10Ω以下φ2.6mm以上(断面積約5.3mm²)
D種100Ω以下φ1.6mm以上(断面積約2.0mm²)

関連する規定

  • 高圧機器の外箱 → A種(解釈第29条)
  • 高圧計器用変成器の2次側電路 → D種(解釈第28条)
  • 避雷器 → A種(解釈第37条)

解き方の手順

選択肢(1)の検討

避雷器(LA)にはA種接地工事が必要です。A種の接地線はφ2.6mm以上ですが、14mm²の軟銅線は直径に換算すると約4.2mm相当なので、2.6mm以上の条件を満たします。→ 適切

選択肢(2)の検討

PASの制御装置は定格制御電圧AC100Vの低圧機器です。300V以下なのでD種接地工事でOKです。D種の接地線はφ1.6mm以上(約2.0mm²)ですが、5.5mm²は十分太いです。→ 適切

選択肢(3)の検討

  • 内蔵LA → A種接地工事(10Ω以下)が必要
  • 高圧計器用変成器の2次側電路 → D種接地工事(100Ω以下)が必要

LAにはA種接地工事(10Ω以下)が必要ですが、この選択肢では「D種接地工事(接地抵抗値70Ω)」と記載されています。70ΩはD種の100Ω以下は満たしていますが、A種の10Ω以下を満たしていません。→ 不適切

選択肢(4)の検討

避雷器にはA種接地工事が必要です。A種接地工事を施しているので適切です。→ 適切

選択肢(5)の検討

高圧機器(PAS)の金属製外箱にはA種接地工事が必要です。A種接地工事を施しているので適切です。→ 適切

答えとその確認方法

答え:(3)

選択肢(3)は、LA内蔵形PASの接地端子にD種接地工事(70Ω)を施していますが、LAにはA種接地工事(10Ω以下)が必要なため、不適切です。

確認のポイント:避雷器は高圧機器であるため、その接地工事はA種(10Ω以下)でなければなりません。D種の100Ω以下では不十分です。

試験での頻出度・類題で注意するポイント

この問題のように「複数の機器が混在する場合の接地工事」は頻出パターンです。注意点は:

  1. 避雷器は必ずA種:電圧に関係なく、避雷器にはA種接地工事を施します
  2. 計器用変成器の2次側はD種:高圧計器用変成器でも、2次側電路にはD種接地工事でOKです
  3. 内蔵機器に注意:VT・LA内蔵形PASのように複数の機器が内蔵されている場合、最も厳しい接地条件が適用されます

この問題から学べることや得ておきたい視点

「接地工事の種類は機器ごとに異なる」という視点が重要です。同じ筐体に複数の機器が内蔵されている場合でも、それぞれの機器に対して適切な接地が必要です。

特に避雷器(LA)は、雷サージという大きなエネルギーを大地に逃がす役割があるため、低い接地抵抗値(A種:10Ω以下)が必須です。


まとめ:接地工事の体系を頭に入れよう

接地工事は「感電防止」という明確な目的があり、電圧が高いほど厳しい条件が課されるという原則を理解すれば、4種類の違いは自然と覚えられます。

覚えること

  • A種:高圧・特別高圧機器 → 10Ω以下、φ2.6mm以上
  • C種:低圧300V超の機器 → 10Ω以下、φ1.6mm以上
  • D種:低圧300V以下の機器 → 100Ω以下、φ1.6mm以上
  • C種・D種は0.5秒以内遮断で500Ωまで緩和可能
  • 避雷器は必ずA種接地工事

次回は「B種接地工事」について、変圧器の高低圧混触防止の観点から詳しく解説します。B種は抵抗値の計算問題が頻出なので、ぜひ続けてお読みください。


※この記事は電気設備技術基準の解釈に基づいて作成していますが、法令は改正されることがあります。試験対策や実務では、常に最新の公式情報を確認してください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

ぜひシェアをお願いします!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次