電験3種 各科目の解説
地絡保護と漏電遮断器の設置義務
「地絡遮断装置の施設」と聞いて、どの機器に設置が必要で、どの場合に省略できるのか、即答できますか? この論点は電験三種の法規科目で繰り返し出題されていますが、「例外規定が8つもあって覚えられない」と悩む受験生が多いテーマです。
この記事では、なぜ地絡保護が必要なのかという本質から理解し、例外規定のロジックを整理することで、丸暗記に頼らない確実な知識を身につけることができます。
この記事の結論:試験に出るまとめ
地絡遮断装置の設置が必要な条件
| 項目 | 基準値 |
|---|---|
| 対象となる機器 | 金属製外箱を有する機械器具 |
| 対象となる電圧 | 使用電圧が60Vを超える低圧 |
| 設置する装置 | 電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置 |
| 根拠条文 | 電技解釈 第36条(省令第15条) |
地絡遮断装置が不要になる8つの例外
| No. | 例外の条件 | 覚え方のキーワード |
|---|---|---|
| 1 | 簡易接触防護措置を施す場合 | 触れない工夫 |
| 2 | 発電所、変電所、開閉所またはこれらに準ずる場所 | プロの管理場所 |
| 3 | 乾燥した場所 | 水気なし |
| 4 | 対地電圧150V以下で、水気のある場所以外 | 150V以下+乾燥 |
| 5 | 二重絶縁構造の機器 | ダブル防御 |
| 6 | ゴム・合成樹脂などの絶縁物で被覆した機器 | 絶縁カバー |
| 7 | 接地抵抗値が3Ω以下の場合 | 超低接地 |
| 8 | 機器内に漏電遮断器を内蔵している場合 | 機器内で保護済み |
試験で狙われる重要数値
- 60V:地絡遮断装置が必要となる電圧の境界値
- 150V:対地電圧の判定基準(水気のある場所以外なら例外)
- 3Ω:この値以下の接地抵抗なら地絡遮断装置は不要
- 300V:高圧変圧器に結合される低圧電路で、これを超えると地絡遮断装置が必要
基礎の基礎の解説:そもそも「地絡」とは何か?
地絡とは「電気が大地に逃げる現象」
地絡(ちらく)とは、電線や電気機器の絶縁が劣化・破損して、本来流れるべきではない経路を通って電流が大地(アース)に流れ出す現象です。
イメージしてみてください。水道管に穴が空いて水が漏れ出すように、電気の「管」である電線や機器に「穴」が空いて電気が漏れ出す――これが地絡です。
なぜ地絡は危険なのか?
地絡が危険な理由は大きく2つあります。
1. 感電の危険 漏れた電流が人体を通って大地に流れると、感電事故が発生します。特に金属製外箱を持つ機器では、外箱に触れた瞬間に人体を通って電流が流れる危険があります。
2. 火災の危険 地絡によって流れる電流は、接触部分で発熱を起こします。この熱が周囲の可燃物に引火すると、電気火災につながります。
地絡保護の考え方
地絡事故から人や設備を守るために、技術基準では「地絡が発生したら、すぐに電路を遮断する」という原則を定めています。これを実現するのが地絡遮断装置(一般的には漏電遮断器やELB:Earth Leakage Circuit Breaker)です。
しかし、すべての電路に地絡遮断装置を設置すると、以下の問題が生じます。
- コストの増大
- 不要な遮断による作業効率の低下
- 公共の安全に関わる機器が停止するリスク
そこで、技術基準では「どの場合に設置が必要か」「どの場合に省略できるか」を細かく規定しています。この規定を理解することが、電験三種の法規科目攻略の鍵となります。
専門的な解説:電技解釈 第36条を読み解く
設置義務の原則(第36条第1項本文)
電気設備の技術基準の解釈 第36条は、地絡遮断装置の設置について以下のように定めています。
金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
この条文のポイントを整理しましょう。
条件1:金属製外箱を有する機械器具 なぜ「金属製外箱」が条件なのでしょうか? 金属は電気を通すため、内部で地絡が発生すると外箱全体に電圧がかかります。この状態で人が外箱に触れると、人体を通じて電流が大地に流れ、感電事故が発生します。
一方、プラスチックなど絶縁物でできた外箱であれば、内部で地絡が発生しても外箱には電圧がかからず、触っても感電しません。
条件2:使用電圧が60Vを超える 60V以下の電圧は、一般的に人体への危険性が低いとされています。これは、皮膚の電気抵抗と60V程度の電圧の組み合わせでは、人体に流れる電流が危険なレベルに達しにくいためです。
そのため、60V以下の電路では地絡遮断装置の設置義務はありません。
条件3:低圧の機械器具 ここでいう「低圧」とは、交流で600V以下、直流で750V以下の電圧を指します。高圧・特別高圧の機械器具については、別途第36条第4項で規定されています。
例外規定の詳細解説
第36条第1項ただし書きには、8つの例外が定められています。それぞれの「なぜ省略できるのか」という理由を理解しましょう。
例外1:簡易接触防護措置を施す場合
機械器具に人が触れないように防護措置を施せば、感電事故は発生しません。ただし、金属製の防護措置で、かつ機械器具と電気的に接続するおそれがあるものは除外されます。なぜなら、金属製の防護物自体が帯電する可能性があるためです。
例外2:発電所、変電所、開閉所などの場所
これらの場所は、電気の専門知識を持つ技術者が常駐し、適切な保安管理が行われています。また、地絡警報装置や絶縁監視装置など、別の保護手段が講じられていることが一般的です。
例外3:乾燥した場所
水は電気を通しやすいため、水気のある場所では地絡電流が流れやすく、感電の危険性が高まります。逆に、乾燥した場所では人体と大地の間の抵抗が高く、地絡による感電リスクが低いため、例外とされています。
例外4:対地電圧150V以下で水気のある場所以外
対地電圧150V以下は比較的低い電圧であり、かつ水気のある場所でなければ感電リスクは許容範囲内と判断されています。
ここで注意すべきは「対地電圧」という表現です。単相3線式200Vの場合、線間電圧は200Vですが、対地電圧は100Vとなります。この場合は例外に該当する可能性があります。
例外5:二重絶縁構造の機器
二重絶縁とは、基礎絶縁(通常の絶縁)と補強絶縁(追加の絶縁)の2重構造になっている機器です。一方の絶縁が破損しても、もう一方の絶縁で保護されるため、地絡による感電リスクが極めて低くなります。
電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁機器には、◻︎の中に◻︎がある「二重四角マーク」が表示されています。
例外6:絶縁物で被覆した機器
ゴムや合成樹脂などの絶縁物で機器全体が被覆されていれば、内部で地絡が発生しても外部に電圧がかからず、感電の心配がありません。
例外7:接地抵抗値が3Ω以下の場合
これは非常に重要な数値です。接地抵抗が極めて低い場合、地絡電流のほとんどは接地線を通じて大地に流れ、人体を通る電流は無視できるほど小さくなります。
では、なぜ「3Ω」という値なのでしょうか?
C種接地工事の標準的な接地抵抗値は10Ω以下(0.5秒以内に遮断する装置がある場合は500Ω以下)、D種接地工事は100Ω以下(同様の場合は500Ω以下)です。これに比べて3Ωは極めて低い値であり、この条件を満たす接地工事が施されていれば、地絡遮断装置がなくても十分な安全性が確保できるという考えです。
例外8:機器内に漏電遮断器を内蔵している場合
機器自体が漏電遮断器を内蔵していれば、電路側に改めて設置する必要はありません。ただし、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設することが条件です。
300Vを超える低圧電路の特則(第36条第3項)
高圧または特別高圧の電路と変圧器によって結合される、使用電圧が300Vを超える低圧の電路には、地絡遮断装置の設置が必要です。
これは、高圧側と低圧側が混触した場合、低圧側に危険な高電圧が侵入する可能性があるためです。300Vを超える電路では感電時の危険性が高いため、より厳格な保護が求められています。
高圧・特別高圧電路の地絡保護(第36条第4項)
高圧または特別高圧の電路には、以下の箇所に地絡遮断装置を設置します。
| 施設箇所 | 対象電路 |
|---|---|
| 発電所、変電所等の引出口 | そこから引き出される電路 |
| 他の者から供給を受ける受電点 | 受電点の負荷側の電路 |
| 配電用変圧器の施設箇所 | 変圧器の負荷側の電路 |
公共の安全に関わる機器への特例(第36条第5項)
非常用照明装置、非常用昇降機(エレベーター)、誘導灯、鉄道用信号装置など、停止すると公共の安全に支障を生じるおそれのある機器については、地絡警報装置を施設すれば、地絡遮断装置の設置を省略できます。
これは、地絡が発生したからといって直ちに電源を遮断すると、かえって危険な状態を招く可能性があるためです。警報によって技術者に地絡の発生を知らせ、適切な対応を促す方が合理的という考えです。
よくある勘違い・つまずきポイントの解説
つまずき1:「60V」と「150V」の混同
「地絡遮断装置が必要なのは何V以上?」という問いに対して、「150V」と答えてしまう受験生がいます。
正解:使用電圧が60Vを超える場合に設置義務が発生します。
150Vは例外規定の中で登場する数値であり、「対地電圧150V以下で水気のある場所以外なら例外となる」という条件の一部です。混同しないように注意しましょう。
つまずき2:接地抵抗「3Ω」と「10Ω」の取り違え
C種接地工事の標準的な接地抵抗値は10Ω以下ですが、地絡遮断装置が不要になる条件は3Ω以下です。
この2つは全く異なる意味を持ちます。
- 10Ω以下:C種接地工事として適正である(D種は100Ω以下)
- 3Ω以下:地絡遮断装置を省略できる(極めて低い接地抵抗)
つまずき3:「地絡遮断装置」と「過電流遮断装置」の混同
地絡遮断装置は漏電(地絡)を検知して電路を遮断する装置です。一方、過電流遮断装置(配線用遮断器やヒューズ)は電流の過大を検知して電路を遮断します。
地絡電流は通常の負荷電流に比べて小さいことが多く、過電流遮断器では検出できない場合があります。そのため、地絡専用の保護装置が必要なのです。
つまずき4:高圧電路の地絡保護との混同
低圧電路と高圧電路では、地絡保護の考え方が異なります。
低圧電路:金属製外箱を有する機械器具に接続する電路が対象 高圧電路:発電所・変電所の引出口、受電点、配電用変圧器の施設箇所などが対象
試験では両方が問われることがあるので、それぞれの規定を区別して覚えておきましょう。
簡単な確認問題(2問)
問題1
次の記述のうち、電気設備技術基準の解釈に基づき、地絡遮断装置の施設を省略できる場合として、誤っているものはどれか。
- (1) 機械器具に簡易接触防護措置を施す場合
- (2) 機械器具を発電所に施設する場合
- (3) 機械器具の対地電圧が100Vで、湿気の多い場所に施設する場合
- (4) 機械器具に施されたD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合
- (5) 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具の場合
解説
正解は(3)です。
対地電圧150V以下の場合に地絡遮断装置を省略できるのは、「水気のある場所以外」に施設する場合です。「湿気の多い場所」は水気のある場所に該当するため、たとえ対地電圧100Vであっても例外にはならず、地絡遮断装置の施設が必要です。
(1)(2)(4)(5)はいずれも正しい例外規定です。
問題2
使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具であって、金属製外箱を有するものに接続する電路には、原則として地絡遮断装置を施設しなければならない。この「60V」という値の根拠として、最も適切な説明はどれか。
- (1) 60Vは低圧の下限値として定められているため
- (2) 60V以下では人体に流れる電流が危険なレベルに達しにくいため
- (3) 60V以下の機器には金属製外箱がないため
- (4) 60V以下の電路には接地工事が不要であるため
- (5) 60Vは高圧と低圧の境界値であるため
解説
正解は(2)です。
人体の皮膚には電気抵抗があり、60V程度以下の電圧では、この皮膚抵抗によって人体に流れる電流が危険なレベル(心室細動を起こすレベル)に達しにくいとされています。そのため、60V以下の電路では地絡による感電リスクが比較的低く、地絡遮断装置の設置義務が免除されています。
なお、(1)は誤りで、低圧の定義は交流600V以下、直流750V以下です。60Vは下限値ではありません。
過去問解説
令和4年度上期・法規・問7
問題文
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく水中照明の施設に関する記述である。
水中又はこれに準ずる場所であって、人が触れるおそれのある場所に施設する照明灯は、次によること。
a) 照明灯に電気を供給する電路には、次に適合する絶縁変圧器を施設すること。 ① 1次側の(ア)電圧は300V以下、2次側の(ア)電圧は150V以下であること。 ② 絶縁変圧器は、その2次側電路の(ア)電圧が30V以下の場合は、1次巻線と2次巻線との間に金属製の混触防止板を設け、これに(イ)種接地工事を施すこと。
b) a)の規定により施設する絶縁変圧器の2次側電路は、次によること。 ① 電路は、(ウ)であること。 ② 開閉器及び過電流遮断器を各極に施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。 ③(ア)電圧が30Vを超える場合は、その電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。 ④ b)②の規定により施設する開閉器及び過電流遮断器並びにb)③の規定により施設する地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置は、堅ろうな金属製の外箱に収めること。 ⑤ 配線は、(エ)工事によること。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 使用 | D | 非接地式電路 | 合成樹脂管 |
| (2) | 対地 | A | 接地式電路 | 金属管 |
| (3) | 使用 | D | 接地式電路 | 合成樹脂管 |
| (4) | 対地 | A | 非接地式電路 | 合成樹脂管 |
| (5) | 使用 | A | 非接地式電路 | 金属管 |
何を聞かれている問題かの整理
この問題は、水中照明という特殊な施設場所における電路の施設方法を問うています。地絡保護に関連して、以下の知識が問われています。
- 電圧の表現方法(使用電圧か対地電圧か)
- 混触防止板の接地工事の種類
- 絶縁変圧器2次側電路の接地方式
- 配線工事の種類
使う公式・考え方のおさらい
水中照明は、人が水中で触れる可能性があり、水は電気を通しやすいため、感電リスクが極めて高い施設です。そのため、以下の多重防護が求められます。
- 絶縁変圧器による1次側と2次側の電気的分離
- 混触防止板による高圧侵入防止
- 非接地式電路による地絡電流の抑制
- 地絡遮断装置による事故時の自動遮断
解き方の手順
ステップ1:(ア)の判定
電技解釈では、変圧器や電路の電圧制限を規定する際、一般的に「使用電圧」という表現を用います。「対地電圧」は、接地式電路と非接地式電路で異なる意味を持つため、ここでは「使用」が適切です。
ステップ2:(イ)の判定
混触防止板は、1次側(高電圧側)と2次側(低電圧側)の混触事故に備えて施設します。混触時に高電圧が2次側に侵入することを防ぐためには、混触防止板を確実に接地して電位上昇を抑える必要があります。
高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側電路にはB種接地工事を施しますが、混触防止板にはA種接地工事(接地抵抗10Ω以下)を施します。これは、より確実な接地によって混触時の電位上昇を最小限に抑えるためです。
ステップ3:(ウ)の判定
水中照明の2次側電路は非接地式電路とします。
非接地式電路では、1線が地絡しても大地との間に電流が流れにくく、人体を通る電流を抑制できます。水中という危険な環境では、この方式が採用されます。
ステップ4:(エ)の判定
水中照明の配線は合成樹脂管工事によります。
金属管は導電性があるため、水中や湿潤環境では漏電のリスクがあります。絶縁性の高い合成樹脂管を使用することで、配線の安全性を確保します。
答えとその確認方法
正解:(4)
(ア)使用、(イ)A、(ウ)非接地式電路、(エ)合成樹脂管
確認として、水中照明の保護システムを整理すると以下のようになります。
- 使用電圧150V以下(2次側)で感電リスクを低減
- 混触防止板にA種接地で高電圧侵入を防止
- 非接地式電路で地絡電流を抑制
- 30Vを超える場合は地絡遮断装置で自動遮断
- 合成樹脂管工事で配線の絶縁を確保
試験での頻出度・類題で注意するポイント
水中照明の施設は、プール水中照明など身近な設備に関係するため、比較的出題頻度が高いテーマです。類題として、以下の論点も合わせて押さえておきましょう。
- 絶縁変圧器の2次側電圧が30V以下の場合、地絡遮断装置の施設は不要
- 水気のある場所での地絡保護は、通常より厳格な基準が適用される
- A種接地工事は、高圧電路の機器外箱や避雷器に施す最も厳格な接地
この問題から学べることや得ておきたい視点
この問題から学ぶべき最も重要な視点は、施設場所の危険度に応じて保護対策が段階的に強化されるということです。
水中は感電リスクが最も高い場所の一つであり、通常の低圧電路よりも多重の保護対策が求められます。試験では、「なぜその対策が必要なのか」という理由を理解していれば、条文を丸暗記していなくても正解を導けることが多いのです。
令和7年度上期・法規・問10
問題文
次の文章は、地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(区分開閉器)のSOG機能のうちSO動作に関する記述である。
GR付PASは負荷電流を遮断することができるが、(ア)電流のような大きな電流は遮断できないため、GR付PASの(イ)側から受電用遮断器の間で(ア)事故が起きた場合は、PASの(ウ)命令を一時的に保存して待機状態となる。
一般送配電事業者の配電用変電所の遮断器が動作することによって、配電線の停電を検出し、無電圧になった状態を確認してから(ウ)動作を行う。したがって、配電用変電所の遮断器が再投入された場合でも、既にPASが(ウ)されているため、配電線の再閉路が成功することとなり、(エ)事故として取り扱われない。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 短絡 | 負荷 | 開放 | 配電線 |
| (2) | 短絡 | 電源 | 遮断 | 波及 |
| (3) | 地絡 | 電源 | 遮断 | 波及 |
| (4) | 地絡 | 電源 | 遮断 | 配電線 |
| (5) | 短絡 | 負荷 | 開放 | 波及 |
何を聞かれている問題かの整理
この問題は、高圧需要家の区分開閉器(PAS: Pole-mounted Air Switch)に搭載されているSOG機能の動作原理を問うています。SOGは「Storage Over-current Ground」の略で、過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形という機能を指します。
使う公式・考え方のおさらい
PAS(区分開閉器)の役割 高圧需要家の責任分界点に設置され、需要家構内の事故を配電線から切り離す役割を持ちます。
PASの能力限界 PASは負荷電流(数十〜数百A程度)は遮断できますが、短絡電流(数千A〜数万A)のような大電流は遮断できません。
SOG機能の動作原理
- 需要家構内で短絡事故が発生
- PASは短絡電流を遮断できないため、開放命令を「保存」
- 配電用変電所の遮断器が動作して配電線が停電
- PASは無電圧を検出して開放動作
- 配電用変電所の遮断器が再投入
- 需要家はPASで切り離されているため、配電線は正常復旧
解き方の手順
ステップ1:(ア)の判定
問題文に「大きな電流は遮断できない」とあります。地絡電流は通常数A〜数十A程度と小さいのに対し、短絡電流は数千A〜数万Aと非常に大きな電流です。したがって(ア)は「短絡」です。
ステップ2:(イ)の判定
PASは需要家の入口(受電点)に設置されます。「PASの○○側から受電用遮断器の間」で事故が起きた場合を考えると、これは需要家構内の事故を指しています。
PASから見て、受電用遮断器は負荷側にあります。したがって(イ)は「負荷」です。
ステップ3:(ウ)の判定
SOG機能では、短絡事故を検出するとPASの開放命令を保存し、無電圧になってから開放動作を行います。「遮断」という表現は、電流を切る動作を含意しますが、PASは短絡電流を遮断する能力がないため、「開放」という表現が適切です。したがって(ウ)は「開放」です。
ステップ4:(エ)の判定
SOG機能によってPASが正常に開放されれば、配電用変電所の遮断器が再投入されたとき、需要家の事故は既に切り離されているため、配電線全体には影響を与えません。
もしSOG機能が正常に動作しなければ、再投入時に再び配電用変電所の遮断器がトリップし、他の需要家も停電する「波及事故」となります。SOG機能が正常に動作すれば、波及事故として取り扱われません。したがって(エ)は「波及」です。
答えとその確認方法
正解:(5)
(ア)短絡、(イ)負荷、(ウ)開放、(エ)波及
SOG機能の目的は、需要家構内の事故を波及事故に発展させないことです。これにより、一般送配電事業者の配電システムと他の需要家への影響を最小限に抑えることができます。
試験での頻出度・類題で注意するポイント
PASとSOG機能は、高圧受電設備の保護協調に関する重要なテーマとして頻出です。以下の関連知識も合わせて押さえておきましょう。
- GR機能:地絡(Ground)を検出してトリップする機能
- SO機能:過電流(短絡)を検出して開放命令を蓄勢する機能
- 保護協調:事故点に最も近い保護装置のみが動作するように、動作時間や感度を調整すること
- DGR付PAS:地絡方向継電装置付きで、需要家構内の地絡か配電線側の地絡かを判別できる
この問題から学べることや得ておきたい視点
この問題から学ぶべき重要な視点は、保護装置にはそれぞれ能力の限界があり、それを補完するシステムが構築されているということです。
PASは短絡電流を直接遮断できませんが、SOG機能によって「無電圧になってから開放する」という方法で、結果的に需要家構内の事故を切り離すことができます。電力システムは、このように複数の保護装置が連携して安全を確保しています。
参考条文
- 電気設備に関する技術基準を定める省令 第15条(地絡に対する保護対策)
- 電気設備の技術基準の解釈 第36条(地絡遮断装置の施設)
※法令・技術基準は改正される可能性があります。最新の公式情報を確認してください。












コメント